【肉の部位】
〜 本音と建前 〜
焼肉に行くなら是非知っておきたい牛肉の基礎知識。
私個人の感じるところを本音と建前でお送りいたします。
サーロイン
腰の周りの肉を表す"loin"の中でも特に美味しいので
伯爵を表す "Sir" を付けて呼ばれるようになったとも言われています。
（ それが嘘だという説も（笑） ）
リブロースから続く部位で、特に柔らかさや旨みに秀でています。
ステーキにすると最高です。
（ A3-4クラスのサーロイン ）
【建前】
焼肉の中でも特に人気のある"上ロース"はこの部分。
その柔らかさと味わい深さに驚く事間違いなしです。
【本音】
和牛のものじゃないと全然美味しくありません。
理想はメス、最低でも去勢の和牛のものを出すお店を見つけたいところです。
焼肉屋さんで高いお金を出して食べるのは無駄、
タレに付けて柔らかさだけを楽しむのが関の山でしょう。
絶対に注文しない部位のトップです。
リブロース
サーロインよりアバラ側にあるのがリブロース。
周りの脂を取らなければサーロインよりも面積が大きいので脂好きにはたまりません。
肉の格付けはここで決まります。
【建前】
ステーキにするも良し、厚めに切って焼肉に使うも良し、
薄めに切ってすき焼き、しゃぶしゃぶに使うも良し。
とろけるように柔らかくて濃厚な、一押しの部位です。
【本音】
和牛であるというのが大前提。
去勢ではなくメスのものを使っているお店を探すのが肝心ですが、
なければ去勢でも構わないでしょう。
リブロースの芯の横（画像で言えば上）にある"カブリ"や"腕"を
"上ロース"として出すお店もあるので要注意です。
テンダーロイン
関西では"ヘレ"、関東では"フィレ"。
一頭につき3kgほどしか取れないという超希少部位。
真ん中の15cmほどはシャトーブリアンと呼ばれ、特に尊重されます。
【建前】
ロースに比べて脂身が少なく、箸で切れるほど柔らかい部位。
ロースやバラに比べてサシが入りにくいので霜降りのフィレは特に貴重。
【本音】
ハラミほどではありませんが、独特の臭いがあります。
ロースに比べて脂の美味しさが前面に出てこないので
（ A5クラスにならないと霜降りになりにくい部位ですので ）
味も素っ気も無い、柔らかいだけのものがほとんどです。
ハラミとサガリ
画像上側がハラミ、下がサガリ。
サガリは横隔膜なので当然体の左右に2枚あるのですが、
ハラミは左半身に一個しかなく、何の役目をしているのか未だに分かりません。
ハラミは長さ40cm程度の板状をしているのに対し、
サガリは70cm程のものが2つ折りになったような形をしています。
口に入れただけで違いが分かるようになったら一人前。
【建前】
これぞ肉！という独特の臭いを持つ柔らかい繊維質の肉。
塩で食べるも良し、タレで甘く焼くのも良し。
珍重されるのも納得の部位です。
【本音】
市場に出回っているのはほとんどが外国産か、ｆ１（雑種）のものです。
和牛のサガリ（ハラミ）は柔らかくて独特の味を持つので
タレでごまかさず、是非塩で食べていただきたいと思います。
ちなみに、以前神戸の人気焼肉店、"○月"に行ったときに
「水分の多い部位なのでタレで食べてください」と言われて驚きました。
普段から質の悪いものを使っている店ならではの食べ方ですね。
三角バラ
バラの一番先端（頭側）の部分。
肋骨に合わせて三角形になっているので三角バラと呼ばれます。
脂っこいのが苦手じゃない方は是非食べてもらいたい部位です。
【建前】
一頭で数kgしか取れない希少部位。
サシがよく入るので焼肉でも人気の部分です。
肉の旨みと脂の甘さのバランスが素晴らしいです。
【本音】
画像をご覧になっても分かりますが、結構量は取れます。
テレビなどでは「幻の部位」などと言われますが、そんな事は全然ありません。
A4クラス以上の牛になるとサシが入りすぎるので
しつこいのが苦手な方にはちょっとキツイかもしれませんね。
和牛のA3クラスのものを美味しいタレで食べるのが無難です。
ミスジ
腕から肩にかかる肉。
1頭に2kgほどしか取れない、非常に希少な部位です。
【建前】
木の葉に似た形が印象的な幻の部位。
非常に柔らかく、刺身や肉のお寿司としても使われる高級部位です。
【本音】
まずい、くさい、スジがある の3拍子が揃った最悪な部位。
どんな牛でもサシが入る部位なので見た目は良いが、
肉に味が無い上、独特の臭みがあり、さらに脂がしつこいので煮ても焼いても食えない部位です。
さらに真ん中に一本スジがあるので食べていてすごく不快な思いをする、最低の部位でもあります。
牛肉の脂の融点は40℃以上なので口の中でもすぐに脂が溶けることはありません。
ミスジを刺身や肉のお寿司で出すお店は店の品位を疑って良いでしょう。
僕はお金もらっても食べたくありません。